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注目!のwebマスター

2007年 7月24日

卸業者がネット通販に取り組むために - 【エミュー】是木洋一様

パブリシティ戦略としても効果が

【エミュー】是木洋一様

 今回ご紹介するのは、誰もが失敗することなく、簡単にワインコルクを開けることができるという、コルクポップス社製の「ガス式オープナー」の輸入・販売を行っている【エミュー】のWebマスター是木洋一様だ。輸入品の卸販売を行っていた企業が、商品の知名度アップを目的としてWebショップを立ち上げた例となる。自社でショップを運営することで、そこから得られる売上げもさることながら、マスコミからの取材依頼を数多く受けるなどの効果が得られているようだ。

 同サイトの運営を行っている「有限会社M&Share」は、海外商材の輸入・販売を手がける商社であり、その設立は2005年5月のことだった。同社は、ワインアクセサリの製造・販売を行なうコルクポップス社の代理店となり、その主力商品の「ガス式オープナー」を、ワイン専門店や東急ハンズなどに向けて卸販売を行っていた。

【エミュー】トップページ

 「ガス式オープナー」とは、“ワインコルクに商品の針の部分を刺してボタンを押すと、内蔵された不活性ガスが注入され瞬時に栓が抜ける”という商品シリーズだ。これを開発したコルクポップス社は、アメリカ・ヨーロッパで特許を取得しており、その代表的な商品の『コルクポップスレガシー』『コルクポップス1』などは、シリーズ累計の販売台数が300万個を突破しているほどのベストセラーになっている。

 この商品の販売代理店となっていた同店は、2006年8月に楽天市場へ出店し、卸販売専業からネット通販も開始した。商品を販売すること自体が重要であることは言うまでも無いが、それ以上に“商品の知名度を上げること”を当初からの大きな目的としていたのだそうだ。

 これは決して一般客へのブランド浸透を意識していただけではなく、「マスコミの方はECで商品を探すことも多いので、パブリシティ戦略としてもメリットはあると思っていました。ありがたいことに、テレビや雑誌に多数ご紹介いただけています。」と、メディア露出の面でも大きな手応えを感じているという。

ユニークな販売アプローチも

購入比率の高い「お試しセット」

 このような目的を持たせたショップであるためか、同店の販売アプローチは、基本的な手法に則りつつ、ユニークな点もいくつか見受けられる。

 同店の店舗名は「エミュー」であり、主力ブランドは「コルクポップス」である。それにも関わらず、サイトトップに掲載してあるテキストにはそれを表記せず、敢えて「1秒で抜けるワインオープナーと北欧テーブルアクセサリーのお店」としているのだ。

 もちろん、これはSEOの効果を狙っていることに間違いない。「お客様が一目見てどんなお店かを分かるようにということと、“ワインオープナー”という商品は検索エンジンからの来店もかなりあるので、SEO対策という部分もあります。」 普通の小売専門店であればまずは店舗名やブランド名を記憶させることを優先するものだが、このようなアプローチもあり得るだろう。

 また、同店ではガス式オープナー『コルクポップス1』とカエル型のフォイルカッターをセットにした「お試しセット」を、初回購入のユーザーに限り、送料無料で販売している。この購入率は全体の「7〜8割」にも達するということであり、大多数のユーザーがこのセットを利用しているのだ。

 しかし、この「お試しセット」のような試みは、食品などの消耗品を販売する際に行われるものだ。まずはその品質を実際に確かめてもらって、それに納得できたら次回は通常購入してもらう。この流れを作り出せなければ意味が無くなってしまうため、耐久品の販売では用いられることが少ない。

 このような方法が可能なのは、同社の商品は「ガス式オープナー」であるためだ。通常のワインオープナーであれば、一度購入してしまえば後の数年間は購入の必要はないものだが、同社の扱う製品を長く使うためにはカートリッジの交換が必要である。この寿命は「カートリッジ1本でワイン約60〜80本分」ということであり、売りっぱなしで終わるようなものではない。ある意味では、最も「お試しセット」の効果が高い商材であり、手軽に注文できるネット通販との親和性は高いと思われる。

 さらに、同サイトでは、商品コマーシャルの動画が効果的に使われていることも特徴的だ。メーカー側がテレビ通販などのために製作した、しっかりと作られたプロモーションビデオが視聴できるようになっており、商品の使用イメージを伝えるのに大きな役割を果たしている。力を入れずにあっという間にワインコルクが開けられるという商品特性を伝えるには、やはり動画が最適なのだ。動画の再生回数などは計測していないとのことだが、「お客様の声などから、購入につながっている効果は感じております。」と、十分な手応えを感じているようだ。

卸販売と小売の違いに戸惑いは

 同社として初めて手がけるWebショップであるため、卸販売との違いに戸惑ったりすることはないのだろうか。その点について伺ってみると、やはりWebショップ運営の王道とも言える手法を、丁寧に行っている様子が伺える。

 「常にお客様の立場になって考えるという点では同じですが、ネットでの販売は手に取って商品を見ることが出来ないので、いろんな角度から商品の撮影をしたり、分かりやすい商品ページ作りを心がけています。」 さらに、「お問い合わせに関しては、営業中であれば最優先で返事を出し、それ以外の場合も24時間以内に返事を出すようにしてます。」 こうしたことはネット上で小売を行っていれば当然のことなのだが、小売経験が少ない企業では意外と疎かにされやすいものだ。

 順調に成長を遂げているように思える同店であるが、やはり開設から間もないショップらしい悩みはある。「アクセス数を増やすのが難しいですね。メルマガも配信してもアクセスが少なく、いくら商品やページが良くてもアクセスしてくれなければ意味がないですから。今もまだ大変です(笑)」 アクセスアップのために、PPC広告を出稿し毎月プレゼントを企画するなど、基本的な対策はしっかりと行われている。

 アクセスしてもらったユーザーを繋ぎとめるために、“お客様との距離感を縮めること”を重視しているそうだ。店舗への愛着を感じさせ、お店のファンとなってもらうために、「メルマガ」には力を入れており、「一番注意している点は“件名”です。ネットでお買い物される方はいろいろなお店からメルマガが届きます。まずは開封されなければ意味が無いので、件名には神経を使っています。まだまだ試行錯誤してる最中ですが…。」と、必要と思われるテクニックを試している段階のようだ。

 また、「楽天市場内の検索は、レビュー件数が多いと検索結果で上位表示されます。自分以外の方による商品の感想を参考に商品選びをされる方も増えてきておりますので、レビューを書き込んでもらえるように促しています。」と、こういった対策もしっかりと意識されているそうだ。

積極的に新規商材も取り入れる

別店舗で「マッサージオイルキャンドル」の販売も

 同店は現在、コルクポップス社製品以外にも様々な商材を取り扱い、より幅広い生活雑貨の店舗として運営されている。その中の一つ、デンマークのアイダ社の製品は、本国の8割の家庭で愛用されているという国民的ブランドだ。この製品は国内の輸入代理店から商品を仕入れており、カフェなどに卸販売も行っている。

 また、同社では別店舗で「マッサージオイルキャンドル」という商材の販売を行う【サウスビーチスパ】の運営も開始している。これはキャンドルの香りを楽しみながら、溶けたオイルを身体に塗ることができるスキンケア商品で、「アメリカでは、著名人やハリウッドのセレブ達も愛用しており、マッサージオイルキャンドルというジャンルそのものがポピュラーになってきました。日本でも癒しというジャンルが確立されてきていますが、まだこのような商品はありませんでしたので、これを広めるために取り扱いを開始しました。」と、新たな商材の開拓を続けている。

 サイト開設当初は、販売契約を結んだワインアクセサリの拡販を目的としていたのだが、次第に取扱商材は幅広くなってきている。「今は、キッチン用品・テーブルウェアが主ですが、取り扱いジャンルをもっと増やして、大人の美しい暮らしを提案できたらと思っています。」と、今後もこの方向性をさらに推し進めていくようだ。

 Webショップの運営を手がけるということは、卸販売専業として営業している時よりも業務的には煩雑さを増すかもしれない。しかし、地道で適切な努力を続けることで、もう1本の安定した収益源に成長させることも可能となる。商材を持つ企業にとっては魅力的な販路であることは間違いなく、同店のような成功例も増えていくことだろう。

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