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2006年11月14日

ヒット商品を最大限に活かす - 【上海問屋】平田学様

話題商品を連発するメーカー

上海問屋 平田学様

 今回ご紹介するのは、PC関連製品の企画開発・製造を行う株式会社エバーグリーンが自ら運営する直販サイト【上海問屋】のWebマスター平田学様だ。一見したところ、同店の商品ラインナップは雑多な印象を受けてしまうが、“目新しさ・楽しさ・便利さ” を兼ね備えた話題性の高いヒット商品を作り出し続けている。ヒット商品を軸としてユーザーの裾野を次第に広げており、メーカー直販サイトとしてはまさに理想的な展開を実現していると言えるだろう。

 同社は、オーディオやPC関連製品の企画開発・製造、輸入販売などを手がけている。大手メーカーとは一味違ったユニークな製品群を市場に投入する企業であり、価格面で訴求できる低価格商材の販売元として知られていた。同社が世に送り出してきた代表的な商品としては、多機能な「学習リモコン」、同社オリジナルの「SDカード」や「コンパクトフラッシュ」、999円という驚くべき価格で話題を呼んだ「MP3プレーヤー」などがある。

【上海問屋】トップページ

 同社のこれまでの最大のヒット商品を伺ってみると、「少しマニアックですが、PC電源の『サイレントキング』シリーズです。静音化のためにいち早く12cmファンを取り入れ大ヒットへと繋がりました。」 こちらはすでにシリーズ累計で40万台という販売台数を記録している。パソコンパーツなどの販売動向調査を行っている「BCNランキング」が主催した、2006年の電源部門で最優秀賞を受賞するなど、非常に高い評価を得ているシリーズだ。

 ハイスペックなマシンを自作するようなユーザーにとって、パソコンの動作音は大きな悩みであり、“静音”というカテゴリは以前から注目を集めていた。そんな中で同社製品は、早い段階から12cmという大型ファンを搭載した上、価格帯も手頃であったため、一躍トップブランドへと支持されるようになったのだ。

 また、最近話題になった商品としては、「マルチUSBアダプタ」というものがある。内蔵型のハードディスクを外付け用として使用可能にするハードディスクケースという商品は以前から存在していたのだが、IDEという専用の端子に繋がなくてはいけないため、差し替え作業が煩雑だった。同社の製品はこれをUSBに変換して行うため、非常に入れ替えしやすくなっているのだ。「こちらは弊社が企画開発し、中国の提携企業が生産た物です。発売当初は、同じような機能の製品はありませんでした。現在は、シリコンケース付きの物を販売しております。」 ちょっとしたアイディアによって、楽天市場のランキングでも上位に食い込むほどの大ヒット商品となっている。

このような商品を開発する際には、「価格が圧倒的に安いという事ももちろん重要ですが、テーマとして持っているのは、『新しいデジタルライフの発見』『使う楽しさ』『痒い所に手が届く快感』、これらを念頭に置いた製品提供を行っております。」 こうしたポリシーを持って判断を下しているのだという。

例えば、学習リモコン「EG-LR500F」という商品では、『全てのリモコンを一つにまとめる』『マクロ機能で一括操作』『タッチパネル採用』と、目新しさ・楽しさ・便利さというテーマをクリアするような商品となっている。オリジナルのフラッシュシリーズでは、『価格が安い』『デジカメ生活に役立つソフトが付属』『浮世絵や絵画、戦国武将など面白い絵柄』、ここに『完全相性保証と5年保証』という安心感をプラスして、非常に訴求力の高い商品に仕上がっているのだ。

メーカー直販サイトを開設

大ヒットしたPC電源『サイレントキング』

 後に同社は、直販部門の開設を検討するようになる。そのきっかけは、「当社は、自社製品の卸売りを中心に行う企業でしたが、複雑で製品説明が難しい物や、ニッチ市場向けの物など、『卸売りには向かないが、面白い製品を直販で売り出せないか?』 という事から、直販ビジネスがスタートしました。」 という発想からだった。秋葉原という立地でもあり、自社でリアルの直営店を運営することも可能だっただろう。しかし、「直販いう事で、選択肢がいくつかありましたが、商材の種類が少ないので、実店舗よりもネット通販向きと判断し、楽天市場にてEVERGREENの直販サイトとしてオープンいたしました。」 これが2004年6月のことだった。

 メーカーとしては実績を残してきた同社であったが、Webショップの立ち上げ間もない頃は、やはり相当な苦労もあったそうだ。「オープンから半年間は、常に終電→会社でお泊り、という感じでした。4〜5人程度、人が雇える規模になってからは、かなり楽になりましたね。どの店舗さんでも同じだと思いますが、最初は全ての作業を自分で行いますので、どうしてもしんどくなります。」

 こうした状態から、2005年の年末には独自ドメインの本店、Yahoo!ショッピング店をオープンさせ、2005年度の楽天市場ショップオブザイヤーでは「PC周辺機器大賞」を受賞するまでの大成功を収めたのだ。

ヒット商品さえあれば、日本中を相手に商売できる

大きな話題を呼んだ999円のMP3プレーヤー

 同店の取り扱い商品は、現在では「300〜500アイテム」というレベルにまで拡大している。しかし、やはりメーカーとしてのスタンスでの商品ラインナップであり、幅広い品揃えが可能な訳ではなく、頻繁に新商品が登場する訳でもない。また、同店の商品カテゴリを見ても、ある特定カテゴリの専門店という構成ではないため、一見したところユーザーにアピールポイントが伝わりにくいショップのように思えてしまう。だが、同店は全く別の見方をしているようだ。 

 「現実の店舗だった場合、品揃えの問題が出て難しいかも知れません。しかし、ネット通販の場合は、商品数が少なくてもあまり問題では無いと思います。ヒット商品さえあれば、日本中を相手に商売を出来るのがネット通販の強みです。“ヒット商品はあるが品数は少ない” という状態は、むしろネット通販に適していると考えています。」

 この戦略を最もよく表しているのが、2006年4月に “999円” という驚くべき価格で販売された「MP3プレーヤー」だろう。その低価格から大きな反響を呼び、「発売直後にYahoo!ジャパンのトップページに掲載され、弊社のサーバーが落ちてしまいました。初回入荷分の1,000個は数時間で完売という凄まじさで、現在でも主力商材の一つです。」 こちらも『価格が安い』『SDカードリーダーとしても使用可能』『ラバータッチの本体とラバーボタン』と、目新しさ・楽しさ・便利さという同店のテーマに沿った商品であり、まさにヒット商品を開発することによってショップへの集客を行う好例だろう。

 さらに、この商品がまだ話題となっている間に、同じ999円という価格で他のパーツ類を発売してシリーズのように見せるなど、相乗効果が得られやすいような戦略を打ち出している。

 また、これだけの低価格商品でありながら、送料値下げのキャンペーンを行うなど、ブームを沈静化させないような仕掛けがなされているのだ。このキャンペーンの意図を伺ってみると、「やはり、まずはユーザーの裾野を広げる事で、とにかく 『上海問屋での購入経験者を増やす事により規模を大きくしていこう』 という意図があります。ネットショップ的に言うと “入り口商品” という事になります。」 非常に効果的な戦略であり、同店の手法が如実に現れていると言えるだろう。

ユーザーを飽きさせない工夫

 サイト運営で最も苦心している点を伺うと、「とにかくユーザーを飽きさせないようにどうするかですね。毎日、見に来たいサイトにしたと思います。」 とのことだった。そのためには、ユーザーの目を惹くような大袈裟な煽り文句などを並べてみたくなるものだが、『“だまし”みたいな事はやめよう。』『常に何か面白い事が起きてる様にしよう。』ということを心がけて、運営を続けているそうだ。

 また同店では、「上海道場」という海外製で英語説明書しか付いていないような商品を中心とした、マニアックな商材を集めたコーナーを新設した。こちらは “ノーサポート、ノークレーム” という販売スタンスを事前に宣言し、より安くより面白い商材を届けるような仕組みを作り出そうとしている。

 ヒット商品を生み出す仕掛けや、ユーザーを飽きさせないような展開など、今後の展開が注目されるショップだと言えるだろう。

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